商品開発のコンセプトについて、本ページにて述べさせていただきます。我々はこのコンセプトに基づいて商品開発をしています。ご一読いただければ幸いです。
目次
皮膚常在菌の重要性
当社はこれまで、従来の化粧品メーカーの視点とは異なる生物学に基づいた商品開発を行ってきました。
それは新しい異端です。
異端とは、正統や道理に沿っていないことです。
換言すれば、「業界の常識の枠内ではない」という意味でしかありません。
では、正統と自称するこれまでの化粧品によって肌はキレイになったのか?
肌荒れは改善したのか?といえば全く逆の結果でした。
化粧品の市場拡大は消費者相談件数と完全に正比例の関係にあります。
皮膚科学の学術研究は日進月歩です。近年における大きな発見の一つに皮膚常在菌の研究があります。腸内細菌と同じように皮膚にも細菌の生態系が存在し、その生態系が破壊されると肌トラブルが起こることが分かってきました。
なかでも美肌菌と呼ばれる表皮ブドウ球菌は、従来の化粧品ではできなかった働きをしてくれることが解明されつつあります。また、ニキビの原因菌として殺菌ターゲットにされているアクネ菌も実は美肌菌とのコンビネーションで善玉菌として働いていることも分かりました。
私たちは、皮膚常在菌と肌質の関係性を数年間かけて研究した結果、その重要性にあらためて気づかされました。
理想的な肌とは
最近は女性誌などでも「腸内フローラで美肌ダイエット」、「肌には美肌菌と悪玉菌がいる」などのキャッチフレーズで記事が取り上げられています。
本来、理想的な肌とはどういうものでしょうか。いろいろな捉え方があるかと思いますが、一つには健全に新陳代謝されるサラサラ肌と言えます。
それでは肌の新陳代謝とは何でしょうか。表皮細胞はやがて角質細胞となり、これが1つ剥がれ落ちると下から新しい表皮細胞が生まれてきます。これが健全な新陳代謝と呼ばれるものです。つまり角質細胞が剥がれ落ちなければ新しい細胞は生まれてこない。
逆に新しい細胞が生まれてくるためには、角質細胞がスムーズに剥がれる必要があります。そのためには適度な乾燥状態が必要となります。つまり、健全な新陳代謝を促すためには、しっとり肌よりサラサラ肌の方が適した状態と言えるのです。
バリア機能の自家保湿膜
肌の最外層には、角質細胞が何層構造にもなって構成されており、それらの角質層と皮脂膜を含めて「自家保湿膜」と呼ばれています。人間の肌はこの自家保湿膜があるからこそ、砂漠などの乾燥地帯でも、氷に覆われた極寒地帯でも肌がひび割れることがないのです。つまり、自家保湿膜とは、保湿機能と外部からの異物の侵入を防ぐというバリア機能を担っているとても大切な膜なのです。
しかし、その自家保湿膜の一部である皮脂膜は約5時間以上経過すると酸化してしまいます。すると皮脂膜は過酸化脂質に変性して皮膚を刺激します。そして、その刺激が炎症を起こし組織を破壊してしまうのです。
つまり、皮脂は保湿機能の一部として機能しているのですが、放置すると組織を破壊する非常にやっかいな存在なのです。
だから、顔や背中など皮脂腺の多い、皮脂の分泌量の多い部位は炎症が発生しやすく、逆に皮脂腺が少ない部位は、腕や太ももの内側などはキメ細かい肌となっているのです。
では、こまめに洗顔すれば良いと思われるかもしれませんが、実際にはそう簡単にはいきません。
過剰な洗顔で皮脂を取り過ぎると、肌は乾燥していると誤解して過剰に皮脂を分泌します。さらには、その過剰な皮脂分泌によって皮脂腺が肥大化し、毛穴が隆起して毛穴が目立ってしまうこともあります。
また、過剰に洗顔すると油分を失い表皮が薄くなり、結果的に自家保湿膜というバリア機能を失ってしまいます。バリア機能を失うと、保湿されないので細胞にとってもっとも重要な水分が蒸散しまい、乾燥肌、敏感肌となります。さらに悪玉菌が増殖して炎症を起こし、紫外線によるシミを発生させる原因となるのです。
逆にバリア機能があれば水分の蒸散を防ぎ、悪玉菌の増殖を抑制して紫外線による損傷から守ることもできるのです。
そのためにも皮脂を制御することが重要になります。皮脂をいかにコントロールするか。
ここがポイントとなるのです。適度な乾燥、それは保湿力を失わない程度の乾燥状態を維持することが健全なターンオーバー(肌の新陳代謝)の条件と言えるのです。
驚異の働きをする「皮膚常在菌」
では、人工的に皮脂を制御することは可能なのでしょうか。答えはNOです。
皮脂を制御する化粧品は存在しません。
そこで我々が着目したのが微生物です。
皮膚常在菌には様々な種類がありますが、顔全体には約200種類の菌が存在し、1㎠あたり100万個の菌がいると言われています。その中でも代表的な菌は、美肌菌、アクネ菌、黄色ブドウ菌です。
美肌菌
美肌菌とは表皮ブドウ球菌です。この菌の主な働きとして、
- グリセリンを含む天然のクリームを生成し、紫外線や水分蒸発から肌を守り
- アミノ酸など肌の栄養素をつくり
- 肌を弱酸性に保つ
という3つの機能があります。先程ご説明した角質層と皮脂膜を合わせた自家保湿膜の中に存在してアミノ酸などの肌に必要な栄養素をつくっているのです。
アクネ菌
次にアクネ菌は、毛穴に生息する嫌気性菌で、空気がないと増殖します。ニキビをつくる原因となる菌と認識されていりますが、完全なる悪玉菌ではなく、肌を弱酸性に保つ良い作用もあります。
黄色ブドウ菌
黄色ブドウ菌は、アルカリ性環境を好む完全なる悪玉菌であり、最近の研究では、アトピー性皮膚炎や肌荒れの原因菌と言われています
マラセチア真菌
マラセチア真菌はカビの一種で脂性の方に多い傾向があります。皮脂や湿気が多い場所を好み、大量に増殖するとニキビや脂漏性皮膚炎などを引き起こします。
美肌菌とアクネ菌の関係
美肌菌とアクネ菌は、肌のpHをコントロールする働きがあります。通常、人のpHは4.3~5.5ですが、美肌菌とアクネ菌は、皮脂をエサとするので、分解した皮脂が遊離脂肪酸となり、それがpHを弱酸性化しているのです。この2つの菌がないと肌の環境がアルカリ性に傾斜して黄色ブドウ菌などが増えて肌荒れの原因となります。
このように美肌菌とアクネ菌のコンビネーションによってやっかいな皮脂を適度に分解して、その人の肌に最適なサラサラ肌をつくりならが新陳代謝を促進し、さらには悪玉菌を抑制する働きをしているのです。
美肌菌のメカニズムをまとめると、肌の栄養素をつくり自家保湿膜を強化する一方で、皮脂を分解して天然クリームをつくり、皮脂の酸化を防いで細胞を損傷させない働きがあると言えます。
これは、従来の化粧品では決してできなかった働きなのです。
毛穴に生息するアクネ菌は皮脂を分解してくれますが、増えすぎると異物として認識されて炎症反応を誘発してしまいます。つまり、一定数は必要でも多すぎると炎症を発生させるという負の側面もあるのです。
従って、美肌菌とアクネ菌の良いバランスを保つことが重要になります。良いバランスとは美肌菌を優位に保つことです。
そんな皮膚常在菌のバランスを調整するために、数多くの成分をつかって、各種の菌に対する阻害効果実験を何百回もしてきました。
成分とその配合比率のバリエーションから最適解を得るためには、AI(人工知能)を活用してきました。バイオロジカルなデータをAIにインプットして、その結果に基づく成分と配合比率を生成しての実験、この繰り返しによってようやく、悪玉菌と抑制して、美肌菌を優位にするためのバランスを調整するローションが完成したのです。
肌本来の機能を取り戻すために
私たちは、肌に生息する微生物に着目して化粧品開発を行っていますが、その微生物の本来の役割は、自家保湿膜を機能させることです。自家保湿膜さえ機能すれば、肌は子供のときのような美しさを取り戻すことが可能となるのです。
自家保湿膜を破壊している化粧品は多くあります。
私たちの挑戦は、そんな化粧品に対する挑戦でもあります。
これからも、肌本来の機能を取り戻すことを目的にした商品開発を行い、みなさまに愛される商品づくりを行う所存でございます。